災害復興に備えるイメージづくりの難しさを克服するためにつくりたい被災地とのネットワーク
宮定章
(和歌山大学 災害科学・レジリエンス共創センター 特任准教授)
このサイトを見られている方は、「災害」や「復興」等をキーワードに検索してくださったので、幾分にも復興に興味があると思う(学会員はもちろんですが)。
私が、この文章を書いている年初(1年の始まり)の時期から、周年行事(1月に阪神・淡路大震災、3月に東日本大震災)があり、全国で報道される。多くの方が一年に一度思い出す機会になると思っている。
しかし、大きな災害で無ければ周年の日であっても全国放送は無く、災害後の被災地がどう復興しているかを想像しにくい。
この日本災害復興学会のホームページでは、復興に関して、ニュースレターや、被災したときに~生活再建の手引き~や、より詳細には、復興に関する理論や現地の現象を扱う学会誌や論文集が公開されており読み学ぶことができる。
全ての災害に、復旧だけでなく、復興(インフラの整備や、住まいや暮らしの再建等)があるが、災害後から長期に及ぶためイメージするのが難しい。復興の期間に、被災者や被災地が体験したことがわからなければ、復興ビジョンはできても、そのビジョンの実現性や、どのような方法で復興をできるのか戦略を立てることは難しい。
難しいが、そうは言っても、毎年起こる豪雨災害や、大規模地震等が予想されており備えなくてはいけない。国土交通省では、復興事前準備のガイドライン等で重要性が啓発され、全国の防災に熱心な自治体等では、復興の事前準備に取り組んできる。
直後の緊急対応ではなく、復興は対象が遠く、想像力をつけるには、復興の体験者と備える者の当事者間の交流が大切だと思う。事前復興に取り組んでいる自治体での経験だが、自身が災害から数年経った被災地を訪問することで、復興のプロジェクトの完成形を見て、プロジェクトの規模や影響を感じ、地元に戻ってのワークショップでは、生き生きとイメージを描きながら具体的に意見を出していた。
被災地を訪問することで、具体的に実感することができる。災害が起こるところは、自然環境が豊かで、景勝地や土地の美味しいもの等がある観光地であることが多い。被災地の訪問に少し学びを加えることで、備えの意識も増すことを何度も見てきた。
訪問は土地の人との出会いがある。その出会いから、復興のイメージづくりが始まるのではないか、また多くの方と出会うことが災害時に生きるネットワークになる。訪問での交流により、助けたい人、助けていてくれる人の関係性が事前に生まれる。