災害復興ブックリスト

小冊子「被災したときに」

はじめに

今回の災害で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 避難されている皆様、すぐにたくさんの人が支援に駆けつけてくれます。安心してください。
 この冊子は、被災された皆様が、避難所に入ってから住宅を再建するまでの手順、各段階での留意点、行政機関から受けられる支援などの概要について、過去に発生した災害を参考にしてまとめたものです。
 被災後の生活再建の最終的な計画は、自分で作らなければなりません。こんなときにこの冊子が皆さんの参考になれば幸いです。

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まずは生活を再建するまでの大まかな流れを説明します。

1.被災してから

  • 住宅が被災して行くところがない人、住宅が危険な状態にある人のために避難所が開設されます。
  • 避難所にいるうちに被災した住宅を修理できる人は修理します。
  • 避難所の次は、自治体が建設する応急仮設住宅へ入居します。
  • 応急仮設住宅に入居中に自宅を再建する人は、住宅を建築します。
  • 住宅を再建できない人のために公営住宅が建設されることがあります。

2.避難所へ

避難所は住宅が被災した人にとって生活再建の第一歩の場所となるところです。避難所生活で自分でできることは、できるだけ自分でやるようにしましょう。

避難所の中は集団生活となることから特に次のことに気をつけましょう。

  • 健康に十分注意してください
  • みんなで協力して自主的に運営してください

避難者の中には耳や目などが不自由な方(災害時要援護者)がおられることがあります。あなたの近くにこのような方いたら、みんなで協力して支援してあげましょう。

避難所での生活は、応急仮設住宅に入居するまで続き、その期間は短い人で約1か月から2か月になります。

被災地の復興を早くするためには、学校の早期再開が不可欠です。学校の授業再開に積極的に協力しましょう。

大事なこと

食事や毛布など避難所生活で必要な最小限のものは災害発生から3〜4日以内に提供されます。

避難所に人れない人の食事や救援物資にも配慮します。


3.避難所で

① 運営本部を作ろう

避難所での生活を乗り切るために運営本部を立ち上げましょう。

運営本部は、避難所で暮らす住民が中心になり、そこに学校側、自治体、ボランティアにも参加してもらいます。

避難所生活の期間中、自治体にお願いしなければならないことは、個人としての要望ではなく、みんなの要望を集約して自治体に伝えましょう。

集団生活をスムーズに過ごすには、隣組のような組織づくりと避難所で必要になるいろいろな仕事の担当を決めましょう。

避難所運営本部の例

② 学校などの使い方は

学校は、主に体育館を使わせてもらいます。それでも足りないときは会議室なども借ります。

体育館などの広い場所を使うときは、必ず通路を設けましょう。

居住する場所の1人あたりの広さは、通路などを除いて少なくても畳1枚が目安です。

学校側は職員室や理科室などは基本的には使って欲しくない場所です。「立入禁止」などの張り紙を出します。

物資置き場や談話室など、みんなで使う場所も決めましょう。

トイレに困らないようにするため

●地震で建物内の配管が壊れている可能性があるので、まず1階だけを使いましょう。

●個室の中にはゴミ袋を置き、使用後のトイレットペーパーはゴミ袋の中に入れます。トイレを使用した後は学校のプールの水などを利用し、バケツで流します。

●トイレは、一度汚れると清掃が大変です。避難所を開設するときは、張り紙などですぐに使い方を徹底しましょう。

●過去の災害では障害者や高齢者の方が無理をして和式のトイレを使い、体調を悪くしたことがあります。ポータブルトイレなど洋式トイレを使うように気をつけてあげましょう。

③ 生活のルールをつくる

避難所でみんなで助け合って生活するためには最小限の生活ルールが必要になります。

必要な生活のルールとしては、起床や消灯時間、食事の時間、災害時要援護者への支援の方法、外部からの電話の取り次ぎ方、掃除当番、喫煙場所、ゴミの出し方、ペットへの対処などさまざまです。みんなで相談してルールを決めます。また、作ったルールは状況の変化にあわせて見直すことが必要です。

特に高齢者の生活に注意

●過去の災害では、避難所などで高齢者が高血圧症などの持病が悪化して亡くなるケースがありました。

●高齢者は、血圧を上げないために普段どおり水などを飲むよう勧めましょう。

●高齢者が生活する場所に配慮しましょう。1階で和室があれば優先的に使ってもらいます。できればトイレの近くで生活できるようにしてあげましょう。

●災害発生直後、早めに大人用の紙オムツやポータブルトイレを調達します。

●体調の悪そうな人は早めに福祉避難所(福祉施設)や病院に連れて行ってあげましょう。

怖いエコノミークラス症候群

自動車を活用した避難生活は利点も多いのですが、狭い空間で長時間同じ姿勢でいると血管の中に血のかたまりができ、最悪の場合死亡する危険性があります。自動車などで避難生活を送る場合は適度に運動することが大切です。


4.自宅が心配

本震で被災した建物が余震で倒壊する危険性などがないかを判定するために「被災建築物応急危険度判定」という調査があります。

この調査は、自治体がり災証明書を発行するための被害調査とは違います。混同されることが多いので注意してください。

危険度判定は、主に被災地外から応援に駆 けつけた民間建築士や行政職員などの応急危険度判定士によって行われます。

結果は、赤色張り紙「危険」、黄色張り紙 「注意」、青色張り紙「調査済み」の3段階に分けられ、外壁などに貼られます。

張り紙見本

地震で屋根が壊れたときは、室内に雨が入ることがあります。家財道具を守るために自分たちでとりあえずブルーシートを屋根にかけましよう。


5.「り災証明書」って、なに

被災後に支援金や義援金、税金の減免などの支援を受けるときに必要となる書類です。

被害調査が終わった後に自治体に申請すると発行されます。

災害の大きさによって異なりますが、り災証明書は被害調査が終わった住宅から順次発行されます。

被害調査とは?

被害調査は地元の自治体が発行する「り災証明書」の根拠となる調査で、自治体の職員が実施して被
害の種類や大きさを認定します。

被害調査や被害の認定は国が作った基準で行われます(内閣府のホームページ参照)。

調査は1次から2次まであり、認定は1次の外観目視でほぼ決まりますが、この認定に不服がある
ときは、建物の中に入って調査する2次調査を申請することができます。

被害の種類や大きさには、全壊、大規模半壊、半壊、全焼、半焼、床上浸水、床下浸水などがあります。

この被害認定で、その後受けられる支援の程度がまったく違ってきますので、十分注意してください。

被害調査で全壊などに認定されたからといって、すぐ解体を決断しないようにします。修理して住み続けることができる場合もあるので建設業者とよく相談しましょう。


6.応急仮設住宅へ

応急仮設住宅は、主に公共用地を活用して建設されます。

建物は、基本的にはプレハブ造りの平屋で、しかも長屋方式です。

応急仮設住宅の間取りは、家族数によって異なります。標準的な大きさは2DK(間取りは下図参照)で、そこに家族2~3人ぐらいで入居します。

家族に車イスなどを使用されている方がいる場合は、早めに自治体に相談しましょう。

応急仮設住宅への入居は、約1か月~2か月後になります。

応急仮設住宅が貸し出される期間は、原則2年以内ですが、これまでの大きな災害では期間が延長されたことがあります。

大事なこと

●生活に必要なテレビや冷蔵庫などの電気製品、台所用品、寝具などの家財道具は、自分でそろえることになります。

● 家賃はかかりませんが、水道光熱費など生活費はすべて自費です。


7.その他の支援

① 住宅の応急修理

応急的な住宅の修理を支援する「災害救助法」に基づく制度があります。

対象となる世帯は、居住している住宅の被害認定が「半壊」または「大規模半壊」の被害が確定していること、応急仮設住宅などを利用しないことが条件となります(「全壊」でも適用されることがあります。注意してください)。

この制度を受けるには、所得制限などの要件があります。詳しくは自治体にお尋ねください。

応急修理の内容は、居室、台所、トイレなど、日常生活に必要最小限度の部分です。修理の費用の限度額は、57 万 6 千円(その年度で変わることがあります)です。

修理は、自治体が業者に委託して実施されます。このため修理費は、被災者にではなく、自治体から直接業者に支払われます。

この制度を活用するときは、まず自治体に「住宅応急修理申込書」を提出します。

損害保険の受け取り

●民間の地震保険やJA共済の建物更正共済保険に加入している世帯には、被害の大きさによって保険金が支払われます。

●保険金は、災害の規模にもよりますが保険会社などの被害調査が終わってからおおよそ1か月以内に受け取ることができます。

②生活再建

生活再建を支援する「被災者生活再建支援法」があります。

この制度が適用されると、申請により基礎支援金(住宅の被害程度に応じた支援金)と加算支援金(被災後の住宅再建の方法に応じた支援金)が支給されます。

対象となる世帯は、居住している住宅の被害認定が「全壊」か「大規模半壊」の場合のみとなります。ただし、「半壊」や「大規模半壊」または宅地が大きな被害を受け、被災した家屋の修理があまりにも高額とな
るときや倒壊による危険防止のため、やむを得ず解体した場合などは「全壊」として扱われます。

災害の規模により異なりますが申請からお金を受け取るまでの期間は、概ね1か月です。

支援金の金額は、世帯の人数が複数の場合は下表のようになります。(単数世帯は、複数世帯の支給額の4分の3になります)

基礎支援金・加算支援金表

③ 災害弔慰金

「災害弔慰金法」の概要は以下のとおりです。

災害弔慰金

災害によって犠牲となった人の遺族に支給されます

生計維持者が亡くなった場合→500万円
生計維持者以外の人の場合→250万円

災害障害見舞金

身体に重度の障害を受けた人に支給されます

生計維持者の場合→250万円
生計維持者以外の人の場合→125万円

災害援護資金の貸付(貸付要件に所得制限があります)

世帯主が負傷した世帯や家財・住居に被害を受けた世帯に対して生活の立て直しに必要な資金を貸し付けます

限度額は150万円から350万円

大事なこと

弔慰金、災害障害見舞金は、自宅の被害、年収、年齢に関係なく支給されます。


おわりに

これまで避難生活をおくる上での留意点や主な公的支援の概要を紹介しました。災害の規模などによっては、今回紹介した制度が弾力的に運用されたり、法律以外に自治体が独自の支援策を設けたりすることがありますので、自治体が設置する相談窓口などでまずは相談してみましょう。

また入手した情報は、他の被災者にも教えてあげましょう。一日も早く、生活を再建されることをお祈りいたします。

参考となるホームページ
【内閣府】(被災者支援に関する各種制度の概要)
http://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/seido.html

冊子のダウンロード

ダウンロード:「被災したときに」(PDF:1,797kB)
ダウンロード:「被災したときに」小冊子印刷用(PDF:1,551kB)

※ダウンロードファイルは2種類あります。小冊子印刷用は、両面印刷して半分折りにするとパンフレットと同じになるように設定したものです。

※「被災したときに」に対する著作権は、当学会支援委員会に帰属します。個人の私的な利用を超えて、無断でこれらを使用すること、一部または全部を複製、転載、転用すること等を禁止します。

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