災害復興における災害ボランティアの質の向上(プロボノ/技術系ボランティア、コロナ禍を踏まえて)【2020年災害復興学会 オンライン分科会2 報告】
高田昭彦(復興ボランティアタスクフォース 代表/
富士ゼロックス勤務)
分科会2では、行政補完とも言われるボランティアについて議論した。
社会福祉協議会が災害ボランティアセンターを設置運営することは広く知られてきた。一方、自発的な「野良ボランティア」は発災初期には社協ボラセンとは対立構造となることがある。時として、「何者であるのか?」との誰何行為がブラックリスト化しているとの疑問も投げかけられた。高速道路の無償化、ボランティア保険の適用(払い渋り)が野良ボラへのアメとムチにもなって居る実態も報告された。
また、ボランティアサラリーマンのような団体が、過去実績や、過去の人間関係で、発災初動の混乱期を上手く立ち回る姿も指摘された。すなわち、災害対策基本法や地域防災計画などの「仕組み」では無く、「人間力」と言われる属人的運用が残る。上手く行かなかった「失敗学」は十分には語られていない。
さらに、社協系の「支援P派遣」、「ブロック派遣」に漏れた被災地では、被災地社協や議員、NPOのみでボラセンを運営していく姿も報告された。JVOADでも、十分な連携には至っていない。
被災地で新たに誕生した災害ボラ団体が、団体維持のための資金援助等が薄く、災後の活動継続困難な事例も報告された。渇水による断水懸念に対しても、災害であるか否かの切り分け議論が先に立ち、社会福祉のボランティアであるか否かなど、災前の縦割り行政が障害となっている実態がある。
ところで、我々チームは、ボランティアには資金支援が必要との予想を持ち、2019年よりヒアリング活動を始めた。中央共同募金会の災害準備金は被災地社協による災害ボラセン設置資金に始まり、ボラ団体への人件費に助成範囲が広げられた。2020年には全国社会福祉協議会が政府に資金支援を要請し、政府も応える通達を決定した。プロボノ、野良ボラは個人レベルでも、団体レベルでも、平日の別の生業/稼業収入をボラ活動に回している。野良ボラへも公金援助を開くべきであるし、決定プロセスや選定基準も広く公開すべきだろう。