災害復興とボランティア
頼政良太(被災地NGO恊働センター代表)
先日、令和二年七月豪雨の被災地である大分県日田市で、被災した温泉街を盛り上げようと活動する方から相談を受けた。「復興って何か全然わからないんだよね。復興を推進するっていう目標を掲げているけど、どこを目指していけばいいのか。」
阪神・淡路大震災以降、災害が起きれば災害ボランティアセンターが設置され、ボランティアが駆けつけるのが当たり前になってきた。災害ボランティアは、被災者の「ニーズ」に基づいて活動し、「ニーズ」がなくなれば活動を終える。災害時の「ニーズ」は、瓦礫の片づけや泥出し、あるいは心のケアなどだ。
確かに、ボランティアが駆けつけ清掃活動をすれば見た目の「ニーズ」は解消される。しかし、災害は日常の課題をあぶり出すのが常である。より脆弱な立場に置かれた方の生活は、災害前の状態に戻ることは容易ではないし、困難な状況が加速することもよくある。そういった方々のお困りごとは、「ニーズ」には現れないものも多く、日常的に支えていくことが必要不可欠だ。
災害ボランティアセンターは「ニーズ」がなくなれば閉鎖され、支援団体も撤退する。しかし、残された課題が全くなくなるわけではない。住んでいた家の再建ができず、やむを得ず移転した人ともとの地域とのつながりをどうやって保っていくのか。馴染みの店がなくなってしまった人にとっての居場所はどうするのか。次の災害が来た時の避難ルートはどうするのか。復興に向けて進む中にはさまざまな困難が現れる。これらの困難は、仕組みや制度だけでは解決しないものもあるだろう。だからこそ、ボランティアの役割は大きい。
復興を実現するとは、容易なことではない。そもそも復興の定義は一つではなく、何を目指すのか迷うこともあるだろう。さまざまな困難にぶつかりながら、心が挫けることもある。そんな長い復興の道のりを進むためには共に歩く存在が必要だ。復興へ明確な答えを出せないからこそ、課題を解決するリソースとしてではなく、共に歩き一緒に悩む存在が重要である。災害時の「ニーズ」がなくなったとしても、ボランティアが被災地に関わり続ける意義はそこにあるのではないだろうか。