日本災害復興学会
Index

ごあいさつ

日本災害復興学会会長
明治大学大学院 特任教授
中林 一樹


迅速にくらしを復旧し、着実にまちを復興するために

 はじめて震度7を記録した阪神・淡路大震災(1995)のあと、新潟県中越地震(2004)、そして東日本大震災(2011)と震度7の地震が続発しています。その間にも、毎年のように地震災害は発生し、また風水害も多発して、各地で人々が犠牲になられ、自宅や仕事を失われ多大なご苦労をされています。さらに、インド洋大津波災害(2004)や中国・?川地震(2006)など、世界でも大規模地震が多発しています。

 災害に対する取り組みは、防災・減災・復興の対策で、その全てが相互に補完しあってはじめて効果が発揮されるのです。事前に取り組んでおく「防災」によって被害を軽減できれば、犠牲者を減らし、災害発生後の対応活動によって被害の拡大を防ぐ「減災」を効果的に展開することができますし、それが有効な復旧、効果的な復興を可能にするのです。

 これまでさまざまな災害研究のなかで、防災、減災に関する研究の蓄積は相対的に進められていましたが、復興に関しての研究の蓄積は多くはありませんでした。とくに、一人ひとりの被災者の生活や住まいの再建への取り組みは一人でも被災者がいれば、必要な取り組みです。しかし、災害規模が大きくなると、それは個人の暮らしの再建のみならず、コミュニティとして、まちとして、地域経済としての復興の取り組みが必要となってきます。その復興は、長い時間が必要となりますし、その費用も膨大な規模となります。しかも、一般的の「復興方式」があるわけではなく、被災地域の地域特性に加えてその時代特性、社会特性に配慮した、個々の災害に対応する個別的な「復興方式」が求められます。

 都市人口が成長傾向にある中での都市直下地震災害からの復興となった阪神・淡路大震災、地域人口が減少傾向にあり超高齢社会化していた農山村地域の復興に取り組んでいる新潟県中越地震、そして人口減少・高齢化と産業構造の転換に向かう時代に広域巨大複合災害から多様な復興を進めねばならない東日本大震災、過去に学びつつ、未来を切り拓く災害復興のあり方を考究していかねばなりません。被害想定に基づく「事前復興」の取り組み、復興過程をモニタリングし柔軟に復興に対応していく「復興アセスメント」のしくみ、そして原状復旧ではなく成熟した未来社会を創生していく「未来復興」の手法など、復興をめぐる研究課題も山積しています。

 また、東日本大震災から2年が過ぎました。その災害復興の課題はまさに山積しています。被災者が被災地を離れ、仙台都市圏に人口が集中している現状、30万人以上が「避難」状況にあり、県外への避難者が6万人にも達している福島の現状、崩壊の危機にある「家族の絆、地域の絆、ふるさと」の再生には、なによりもしごとと生活を確保し、家族や地域の絆を維持して復興へのモチベーションを高め、着実に復興へ向かう「迅速なくらしの復旧、そして着実な復興」を連続にすすめていかねばなりません。

 日本災害復興学会は、災害の多い日本でもっと被災者に笑顔が戻り、くらしが迅速に再建され、まちが着実に復興していくための、被災地域に寄り添いながら、災害復興の理念、それを実現する法制度の整備、被災地域における復興の進め方を考究することをめざしたいと思って設立しました。東日本大震災のみならず、各地で取り組まれ続けている災害復興へのまなざしを閉ざすことなく、災害復興のあり方を考究していきたいと思います。

(2013年3月)


(c)2008 Japan Society for Disaster Recovery and Revitalization